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旅するように働く 橋本博司

では、訪れた国のなかで一番印象の強かった国どこですか?

カンボジアが一番衝撃を受けましたねカンボジアに、アンコールワットという遺跡を見に行って、スゴく感動したのですが、そのとき10歳くらいの子どもたちに囲まれて、話を聞いたら、勉強を教えてくれと言うのです。

家が貧しくて学校に通えないとか、カンボジアは内戦が起こっていたので、学校は壊されちゃったとか、学校の先生は殺されちゃったとか、数々の理由で学校に通えない状況でした。その子たちに簡単な英語とか、算数とか教えていて、そのときに、「将来みんなやりたいことあるの?」って聞いたら、みんな目をキラキラさせて「医者になりたいんだ」とか、「学校の先生になりたいんだ」とか言ってきたのです。「なんで?」ってきいたら、「戦争でけがした人が大勢いるから治したいんだ!」とか、「学校の先生はみんな殺されちゃったから、僕が先生になって教えたいんだ!」とか、みんな目をキラキラさせて伝えてきたのです。ただ、その時に気付いたのは、この子たちは絶対将来の夢を実現できないということ。なぜなら、学校に通ってないから、読み書きができません、計算もできません、だから、大人になったらまともな職に就けない。このままだったら、ずっと貧しいままだなと思いました。

 

そこで、初めて可能性がない、努力すら出来ない人たち、可能性が0%の人たちが世の中にいるんだということを知りました。一方、僕自身はやりたいことがなく、旅行は好きだったけど、「夢はなんですか?」って言われたら答えることが出来ない大学生でした。そんな自分が余りにもふがいないというか、申し訳ないという思いになりました。

 

こんなに恵まれるのに、適当にアルバイトして、お金貯めて、海外に行っているのと、目の前にいる子供たちは、絶対に日本なんて来られないし、海外なんて行けないし、夢があるのに何も出来ない。

 

たまたま生まれた場所の違いで、こんなに違うのってなんだかな・・・って、この時本当に衝撃を受けて、帰りの飛行機の中で手帳に【40歳までに学校を作る】と書いたのがスタートです。

 

カンボジアで、子供たちと接したのが自分の人生にとって重要な出来事だったと思います。

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では、学校を建てる為にどのようなことを行っているのですか?

日本で、寄付金を集めて、現地のパートナーがいるので、その人と協力して学校を作っています。

 

学校を作っても、よく運用をされないで、そのまま使われないままになってしまうということが多くて、うちの団体としてはそれを避けたいなと思っているので、カンボジアの教育局と一緒にタッグを組んで建設と運営を行っています。

 

建設までの流れとして、まずは、教育委員長と話をして、不足しているエリアをヒアリングします。そこから実際の村に現地調査に行き、村長さんと校長先生に来てもらって、生徒数や世帯数、など詳細のヒアリングとを行います。そうして10カ所ほどを周り、優先順位を立てて建設候補地を決定します。

 

建設候補地が決まったら、日本での資金集めです。だいたい300人が通える学校1校作るのに300万円くらいかかります。資金が集まりましたら、地元の大工さんや、資材屋さんと調整しながら建設を進めていきます。

 

完成後は教育局と連携を取っているので、公立の学校として、運営されます。先生は正式な公務員の先生が派遣されて来ます。ざっくりとですが以上のような流れで建設を行っています。

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日本で資金を集める手段とはどのような手段ですか?

今は企業の社長さんからの1口100万円などの大口の寄付が主です。ただ「なぜカンボジアに?」という理由がないので、カンボジアの魅力を伝えて、まずは一緒にカンボジアに行きましょう!と言う話をしています。まずは現状を生で感じて知ってもらうのがいちばんですので。

学校を作る活動でネックになることなどはありましたか?

ハードルはいつも資金集めです...これはNPO法人の宿命ですね...学校の建設に教育局とどうやっていけばいいの?みたいに分からないと思うんだけど、たまたま現地のパートナーのサムというのがいて、サムが学校建設のやり方というのを我々が作る前から1校作っているから分かっているので、現地で苦労したというよりは、日本でのお金集めがネックになっています。

 

結局、実績ないと誰も話を聞いてくれないので、最初は半額を自分で出し、当時務めていた企業の社長を口説いて、残りの金額を出してもらって最初は建てました。

 

1校作った実績があれば、後は話しやすいので、2校目からは寄付金で建設することができています。

 

学校が建てられた後、子供たちとどのように関わっていますか?

まだ、教育の中身までは手を付けていないですが、現地は歯磨きの習慣がないので、校長先生に頼まれて、歯磨き教室を行ったり、年に2回運動会を開催したりとそういった課外活動をやって関わっています。

 

それには、スタディーツアーとして年間100人以上の日本の大学生と現地に行ってます。カンボジアの子どもたちとの関わりを通じて、日本人の大学生が成長していく姿を目の当たりにすると、一番やりがいを感じる瞬間は学校ができたときよりも、こちらなのではないかと感じたりもしています。

 

学校の建設と運営を行いながら年ほど経った時に新しい問題に直面しました。うちの学校は公立の学校なので授業料は無料で通えます。ただ、と言っても通えない子供たちがだいたい割合で10〜15%くらい出てきました。昨年一年かけて、なぜ通えないのかを調べていたところ、突き詰めると貧困が原因でした。だいたい月収30ドル以下、1日1ドル以下で生活をしている世界で最も貧しい人に含まれる家庭の子どもたちが通えていなかったのです。

 

よく聞く話として、貧しくて子どもが働かされるから学校に行けない、と言う話を聞くことが多いと思いますが、現実はそうではありません。働き口なんてないのです。ただでさえ、大人ですら働き口がないのに、何で子供で働き口があるの?って・・・

 

では、どうしているかと言うと、食べられるもの探してるんだよね、魚を捕ったりとか、食べれる草を探したりとか。今日生きられるかどうかの世界の家庭にとって、結局学校作って1%の可能性を与えたいと思ってやっても意味がないのではないかと・・・

 

だったら貧困の問題があるなら、貧困問題を解決しようと、そうやって新しい事業をやろうと思いにいたり、昨年より準備を進めています。

 

どのような事業かと、簡単に言いますと、貧困家庭に豚を育ててもらうことをしてもらいます。お金を貸すマイクロクレジットという手法が世界的に流行っているのですが、お金をそのまま貸すと使われてしまうのでお金を貸すのではなく、ビジネスのパッケージを貸そうと思っています。

 

つまり、その家庭に10万円を貸すのではなく、10万円分の豚小屋と井戸と子豚とえさ代に変えて、その家庭に貸します。そして、2年間をかけて一緒にその家庭と豚を育てて販売するということをします。その売れた収益の半分は返済に充ててもらいます。2年間で返済が終わるシュミレーションです。我々は利子を取るつもりはないので、それだと収益にならない。だから、必ず我々からえさを買ってくださいというビジネスモデルにしてて、そうやって運営費を賄おうとしています。

 

このプロジェクトは、「子供を学校に行かせること」が導入の条件なので、子供は教育を受けれ、親は豚を育てる職業訓練になる。なおかつ、その家庭はうちが半分利益をとっても月30ドルの収入から月60ドルの収入に上がるので、貧困も脱出できる、そういった効果を狙ったものになっています。

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